ホップの里からビールの里へ〜岩手県遠野市での新たな挑戦〜


2016年9月。

岩手県遠野市において、ポスト資本主義社会を具現化するための新たな挑戦が始まりました。

 

Next Commons Lab

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“Next Commons Lab”は、さまざまな領域で活動するメンバーが集まり、
プロジェクトを通じて地域社会と交わりながら、
ポスト資本主義社会を具現化する議論と実行の場です。
今を生きる私たちが、理想とする未来を思い描き、
自ら考え、手足を動かし、社会そのものを変えていく。
自由な精神と、良質なカオスの中で未来づくりがはじまります。
さぁ、あなたの創造力を社会に実装する時です。

 

何だか難しくてよくわかりませんが(笑)、平たく言うと”ないものは自分たちで作ろう”ということです。

地域が抱える課題に対して、起業家、企業、地域が一体となって課題の解決、さらにはその先の新しい未来の在り方を提案していきます。

 

遠野市では2016年9月からビール醸造、発酵、産後ケア、超低コスト住宅など10のプロジェクトがスタートしました。そして今回私はその中のビールプロジェクトに、ブルワーとして参画することになりました。

ということでこの場をお借りし、今回プロジェクトに参加した理由と遠野で実現したい世界を書かせて頂きたいと思います。

 

 

資本主義社会の限界

 

私は前職でユニクロの店長をしておりました。

店長とししての仕事は、やりがいと面白さに溢れていました。

 

40人以上の部下をまとめ、チームとして成果を出したこと

中小企業の一年の売上高をわずか一ヶ月で叩き出したこと

新店の店長として0からお店を作り上げたこと

 

20代でこのような経験ができたことは、本当に良かったと今でも思っています。

 

しかしその一方で、自分の仕事に対してどこか違和感を感じていました。

その違和感が表面化した直接的な原因は、会社の売上不振でした。

 

業績不振・ユニクロは消費者に飽きられたのか?

 

売上不振と言っても即倒産するレベルではありませんし、一時的なものかもしれません。

またUNIQLOはフリースブームの終焉など、これまで数多くの業績不振を乗り越えてきました。

 

ただし今回は、どこか社会に吹く風が変わりつつあるのかなと感じました。

 

これまでUNIQLOは品質の高い商品を大量に生産し、圧倒的な低価格で消費者に販売することで売上を伸ばしてきました。

しかしここにきてこの大量生産・大量販売のビジネスモデルが、限界にきているのではないかと感じざるをえませんでした。

 

 

物質的な豊かさから精神的な豊かさへ

 

モノやサービスが溢れる世の中で、求められるものが間違いなく変化してきているように感じます。

シェアリングエコノミーが一般化し、物を持たないミニマリストという言葉も生まれました。

 

特に3.11以降、”モノを所有する”ということから、精神的な豊かさを感じられる”体験や人々とのつながり”に価値の重点がシフトしていると強く感じるようになりました。

 

そんなことを感じながら、ある日ふと店頭に並んでいる服を手に取ってみました。

 

「どんな人がこの服を作り、どんな人がこの服を買っていくのか」

全く思い浮かびませんでした。

 

「自分は本当にこの商売を続けたいのか?」

 

答えは「NO」でした。

 

 

28歳、ビールの世界へ

 

30歳を目前にして、自分が生涯かけて仕事にしたいことは何だろうと相当悩みました。

 

「自分が一番ワクワクすること」

「世の中に必要とされていること」

 

この二つの軸で考えたとき、パッと頭に思い浮かんだのが”ビール”でした。

 

ビールのことを考えているとき

ビールを飲んでいるとき

ビールを飲んでいる人達の笑顔を見ているとき

 

自分が一番夢中になれる瞬間でした。

 

そして「みんなを笑顔にできるようなビールを造ろう」と決意しました。

 

「少量でもいいから、造り手の顔が見える心のこもったビールを、身近な人に届けたい」

 

そう思いました。

 

 

ビールの原体験

 

私のビールとの出会いは学生時代の世界一周旅行でした。

旅をする前までビールはピッチャーで注いで飲む、味がない、炭酸が強い飲み物というイメージがありました。

 

 

しかし私が旅先で出会うビールはどれも個性的で、魅力的で、人々の生活に根ざしたものでした。

いつしか私は世界各国でその土地のビールを飲むのが楽しみになり、飲んだビールのラベルをノートに張っては夜な夜なそのノートを眺めていました。

 

旅の中で最も印象的だったのが、チェコで飲んだピルスナーウルケルとドイツのオクトーバーフェストでした。

 

日本のビールのルーツと言われるピルスナーウルケル。

どうしてもそのビールを飲んでみたく、ルートを変更してまで工場を訪れました。

 

そこで木樽から直接注いでくれたビールの味は、大学生の私に衝撃を与えました。

 

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「ビールってこんなにも美味しいんだ」

素直にそう感じた瞬間でした。

 

 

そしてドイツのオクトーバーフェスト。

会場を包む熱気と人々のビールへの愛は今でも忘れられません。

 

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ビールを中心に心から楽しんでいるドイツ人の姿を見て、ちょっぴり羨ましく思ったことを覚えています。

 

 

“ビールをもっと楽しく、もっと身近に”

 

私が遠野で目指す世界はこの言葉に集約されると思います。

 

いわゆるのどごしのいいラガービールだけがビールではありません。

 

甘いのもあれば、苦いのもあれば、酸っぱいものもあれば、青いビールだってあります。

屋外で飲むもよし、雰囲気のよいビアバーで飲むもよし、家で家族でまったり飲むもよし。

 

ビールには本当に様々な楽しみ方があると思います。

 

居酒屋の大将が「今日はIPAが繋がっているよ!」とお客さんに説明していたり…

買い物帰りの主婦さんが「今日はヴァイツェンをお持ち帰りしようかしら」とグラウラー片手に悩んでいたり…

福岡に住む学生さんが「ビールを飲むために遠野に旅行に行ってくる!」とお母さんに電話していたり…。

 

遠野でそんなビール文化ができたら楽しいなと思います。

 

 

「遠野でビールを飲むのではなく、ビールを飲むために遠野に行く」

 

そのためには圧倒的なクオリティーが必要ですし、遠野に本当の意味でビールを楽しむ文化が根付いていないといけません。

 

ここが当面の目標です。

 

 

もちろん課題は山積です。

 

地方都市でどうやってビール屋としての商売を成り立たせていくのか

冬の時期の商売はどうするのか

醸造スキルはきちんと体得できるのか

 

 

考え出したらキリがありません。

 

でもその分可能性は無限大です。

 

ビールプロジェクト単体としてではなく、10個のプロジェクトを有機的にリンクさせながら新しいことにどんどんチャレンジしていきたいと思います。

 

 

「ホップの里から、ビールの里へ」

 

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頑張ります。


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